2025 年、東京で開催されるデフリンピック。私はこの大会に「スポーツドクター」として帯同する機会をいただいています。
今回は、医師の立場から、聴覚に障がいのあるアスリート(デフアスリート)ならではの身体的特性や、大会における医療支援・アンチドーピング体制についてお話しさせていただきます。
■デフアスリートの身体的・感覚的特性とは
聴覚に障がいのある選手の多くは、視覚情報への集中力が高く、空間認識能力や反応の鋭さに優れる特性があります。
一方で、スタートの合図やチーム内の情報共有といった場面では、音声の代替となる工夫が必要です。
たとえば、光・振動などの視覚的信号や、選手・スタッフ間での明確なアイコンタクト・ジェスチャーなどが重要な役割を果たします。
また、口話や読唇でコミュニケーションをとる選手も多いため、一人ひとりに合わせたサポートが求められます。
■大会中の医療サポート体制
デフリンピックでは、他の国際大会と同様に、選手の健康と安全を最優先に考えた医療体制が整っています。
私の主な役割は、外傷対応、体調管理やリカバリー指導などです。
医療現場では、手話通訳者のサポートや視覚的な補助資料の活用により、正確かつ丁寧なコミュニケーションを心がけています。
■アンチドーピング体制の整備
デフリンピックでも、WADA(世界アンチドーピング機構)に準拠した厳正なドーピング管理体制が導入されます。
検査手順への理解を深めてもらうために、手話通訳の同行や視覚的な説明資料を徹底し、選手が安心して臨めるよう努めています。
また、医薬品の成分確認や誤飲防止などについても、日頃から医療スタッフが継続的にサポートを行います。
■GO SPORTS® × DBVA 支援プログラムについて
デフリンピックは、多様な背景を持つアスリートたちが、それぞれの想いを胸に世界の舞台へ挑む特別な大会です。
スポーツドクターとして、その挑戦を間近で支えられることをとても光栄に感じています。
今回のように、日々の暮らしの中でできる応援のかたちがあることは、とても意義深いと思います。
一人ひとりの応援が、確かに選手たちの力になります。
この支援プログラムを通じて、より多くの方にデフアスリートの存在やその魅力を知っていただけたら嬉しいです。